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結局連れて行かないってことで、玄関から二階に向かって叫ぶ。向かいのおばさんに聞かれていたら、きっと何事かと思われただろう。僕が家にクラスメートを入れるなんて有り得ないのだから。
「こ、こんばんは、アキラくん」
玄関を開けると、インターホンを押す寸前の女子が立っていた。
「石坂。なんでこんなトコに居るんだ?」
「一緒にお散歩に行こうと思って。アキラくん、家には入れてくれないから」
ここに居たってことは、さっきのを聞かれてたかもしれない。
「まあいいや、行くんだろ」
変な言い出し方したな…。チョコが待ち兼ねていたので歩き出した。
「うん」
「今日は公園でゆっくりするけど」
「終わるまで一緒にいるから。あ、迷惑なら帰るけど」
「別に普通」
「そっか…」
夏休みの間は誰にも会わないと思っていた。僕の家は学校から30分かかるし、皆学校の近くの公園で遊ぶだろうから。しばらく二人とも無言だった。
公園に着くと、僕はチョコを抱えてブランコに腰掛けた。
「アキラくんはえらいね。ちゃんとご両親にあいさつして」
やっぱり聞かれていた。変には思われてないようだが、僕は今まで両親にあいさつしたことなんてない。
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