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「私なんか今日お母さんとケンカしちゃった」
石坂は男子には人気がある。女子には評判最悪だけど。
「へえ」
「勉強しなさいってうるさいの。もうすぐ受験なんだからって」
うちじゃ誰もそんなこと言わない。だから少しうらやましかった。
「私はアキラくんと同じ中学校に行きたいのに」
そう言って泣き出してしまった。正直なところ……うざい。
「泣くような事でもないだろ。一生会えなくなるわけでもないんだから」
「それは…そうだけど…」
チョコを膝に乗せたままブランコをこぐ。前には青く塗られたすべり台、赤く塗られた鉄棒が見える。ふと、夢のことを思い出した。あの見たことのあるような鉄の塊。すべり台だ。形もそっくりだったし、色も青っぽかった。塗装ははげかけてたけど、確かにあれはすべり台だった。僕がいたのはこの公園だったのだ。
となりには泣いている石坂。まるで今から地球が破滅すると宣告をうけたかのように。実際は下らない理由で泣いているのだが。
「ありがとうアキラくん。とても楽になった」
「良かったじゃん」
結局あの後約30分程付き合わされた。
「じゃ、またね」
「うん」
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