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島原・・・そこは攘夷派も幕府派もなく、一葉にして己の本能の欲望がうずめく場所。
本来遊女達は、男共に自らの美貌と芸で生極楽をあたえ、例え女衒(ぜげん)から売られた女でも、太夫ともなれば、正五位の官位にあり、10万石クラスの大名の格式を有し、帝に接見を許された地位を持つことだできた。
しかし、幕末という波乱の時代は、後の世に言う“幕末志士”の男だけでなく、島原遊女達の意識をも変えた。
それは、この激動の時代を誰が終止符をうたせるか。
近い将来それをする人物は間違いなくこの島原に通っている。
なら、その男を自分の手中にすれば、天下人の女となれる。
ということである。
それを知ってか知らずか、その候補であろうと思われる鉄扇の大男が、今日も島原に現れた。
但し今日はさやを肩にかけて・・・。
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