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「芹沢様お待ちしておりやした。ようこそおいでやす。」
親方はさやを少し不思議そうに見たが、いつものとおり芹沢を迎える。
「おう。ところで親方、こいつを梅の禿にしろ。」
「えっ!?芹沢様のお頼みとあればそれは別に結構でおますが、この子はどなたどすか?」
「ててなし子だ。」
「お名前は?」
「しゃべれんし字をかけんから知らん。そうだな、さやでいい。そうしろ。」
「しゃべれんのですか?そりゃまたけったいな子を・・・。」
「文句あるか?」
「いえいえ文句なんかありゃしまへん。女衒から買わずにすんだし・・・。」
「部屋に入るぞ。梅を呼べ。それとさやにメシと服もあたえてやれ。」
「はい。草々に。ほな、さやをお預かりしやす。」
「今日のところはまだよい。部屋はどこだ?」
「はいはい。ご案内いたしやす。」
芹沢は肩にさやを担いだまま、一派はガサガサと部屋に入っていった。
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