拾-HIROI-

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「芹沢様お待ちしておりやした。ようこそおいでやす。」   親方はさやを少し不思議そうに見たが、いつものとおり芹沢を迎える。   「おう。ところで親方、こいつを梅の禿にしろ。」   「えっ!?芹沢様のお頼みとあればそれは別に結構でおますが、この子はどなたどすか?」   「ててなし子だ。」   「お名前は?」   「しゃべれんし字をかけんから知らん。そうだな、さやでいい。そうしろ。」   「しゃべれんのですか?そりゃまたけったいな子を・・・。」   「文句あるか?」   「いえいえ文句なんかありゃしまへん。女衒から買わずにすんだし・・・。」   「部屋に入るぞ。梅を呼べ。それとさやにメシと服もあたえてやれ。」   「はい。草々に。ほな、さやをお預かりしやす。」   「今日のところはまだよい。部屋はどこだ?」   「はいはい。ご案内いたしやす。」   芹沢は肩にさやを担いだまま、一派はガサガサと部屋に入っていった。
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