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入鹿自身も、蘇我本宗家の担い手としての自負からか、日頃からその立ち振る舞いには溢れんばかりの自信が漲(みなぎ)っていた。
故に、反感を抱(いだ)く者も少なからずいたのだが、当の本人はそのようなことは一向に意に介していなかった。
大王は、そんな入鹿をどの臣下の者よりも信頼していた。
……もしかしたら、恋愛にも似た感情を抱いているのかもしれないと、額田は思っていた。
しばらくして入鹿が現れ、大王の前で恭(うやうや)しく片膝をついた。
「失礼いたします。大王さまにおかれましては、ご機嫌麗(うるわ)しく……」
「何を堅苦しい挨拶をしておる。さては額田の手前、少しでもいいところを見せようとしておるのではないのか?」
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