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御門さんには、きっと…人を惹きつけるような何かがあるんだ。
だから、彼らも御門さんに――…
「記者へ詳しいの発表は、後日…改めて行うようにする。
今は何も言わずに帰ってくれ…」
それまで校門から中へ入りそうな勢いだった群衆が沈静化し…
おとなしく帰って行ってくれた。
「じゃあ…私も帰るわ。
記事をまとめなきゃなんないし」
「お疲れ様でしたっ!」
優子さんは最後までラフな態度で後ろ手を振って去って行った。
それを見届けた慶太さんは…
「はぁ…やっと帰った。
あの人、苦手なんだよなぁ~…」
「何か分かります」
女性記者だからな。
「……では、そろそろ行こうか」
「…はい…」
天野先生がパトカーに乗る。
「オレが運転しますよ」
「私は助手席に乗るか…」
おれには天野先生にかける言葉が見当たらない…情けないな…
あんなに、おれたちを想っていた天野先生に何も言えないなんて…
「――洸太くん!悠太くん!」
「天野っち…」
「ありがとう…!」
その「ありがとう」が何を指しているのかは分からなかったけど…
おれたちの心は、温かくなった。
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