エピローグ

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――あれから、一週間後… 警視庁は春日雅紀殺害事件の記者発表を行い事件の全てを語った。 あの事件の背景にあった出来事… 春日雅紀の両親の離婚…10年前に起きたバイク事故や誘拐事件… おれたちの両親が春日に殺された強盗殺人も再調査で判明し… 警視庁は、詳しい調査を怠ったということで謝罪してくれた。 その席には御門さん…山崎警視もいて、彼の誠実な態度を見たら… 責めることなんて出来なかった。 「悠太ー!早くしろ!」 おれたちは、今日から学校に復帰して、いつもの生活に戻る。 あの忙しかったのが夢みたいだ。 「ちょ、待ってよぉ!」 「早くしなさいってば!」 達也さんは警察で事情聴取を受け情状酌量で無罪となり釈放… 罪には問われなかったらしい。 「いってきまーす!」 「行ってらっしゃい」 「おう!行ってらっしゃい!」 達也さんは、ずっと後悔していたらしい…10年前から…ずっと… あの事故は、自分のせいで起きたものだと思って後悔していた。 いつか償いたいと思っていた… 彼は警察で、そう語ったらしい。 達也さんの選んだ償いは、決して間違いではないと思うけど… それは、正解でもないと思う。 何が正しくて何が間違っているかなんて…自分では分からない。 だけど…自分が、正しいと思ったなら…それを選ぶかも知れない。 達也さんは悩んで苦しんだんだ。 「おっす!おはよーさん」 「あっ、慶太さん」 「どしたの?こんな時間に…」 「んー?通りかかっただけ。 とくに用事はないんだよなぁ…」 3日前に慶太さんから聞かされて分かったことがある… 天野先生が春日と同じ学校に来たのも、おれたちと出会ったのも… おれたちを心配してくれたことも計画や演技じゃなかった。 何もかも…偶然だったらしい。 「じゃあな、青少年! しっかり、勉強に励めよー?」 「慶兄に言われたくないよ」 「うるせっ!」 偶然が重なった事件だった… 悲しい偶然が、おれと達也さんと天野先生を結んで春日と繋がり… あんな…悲しい事件が起きた。 「兄貴…?どしたの? また、難しそうな顔して…」 おれには悠太がいる… 世界で、たった2人の家族だけど温かくて幸せな家族なんだ。 この温もりが…心地いいんだ。 「何でもないよ。行くぞ!」 「あっ…オッケー!」 この温もりを…いつまでも…――     ――END――
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