47人が本棚に入れています
本棚に追加
竹田からの返信は1時間程して届いた。
奈美のあっさりした文章とは違い、竹田のメールは意外なものだった。
《返信遅くなりました。竹田です。
お礼なんて気にしないでいいのに。
俺も咄嗟にやった事だし。
あ、でももしどうしても気にしてくれるなら…お礼ついでに今度映画でもどう?》
心臓がバクバクと音を立てているのが自分でもわかる。
顔が熱い。
冗談…?
本気…?
どちらとも取れる文章の感じに戸惑いながらも返信してみた。
《Re:
何で映画?(笑)
でももしどうしても行くっていうなら…お礼なんだし私がおごるよ。》
暫し返信を待つ……が、全くメールが返ってこない。
もしかしたら冗談を本気にしたと思われたのだろうか。
それとも何か文章がまずかったのだろうか。
考えてみてもわからない。
さらに暫く待ってみたが返信がないので奈美は少し諦めていた。
何を期待していたのだろう…自分には彼氏がいるというのに。
夕飯を済ませ、お風呂に入る。
ずいぶん遅い時間になってしまったと思い、濡れた髪の毛をタオルで拭きながら携帯を開くとメールが1件入っていた。
《Re:
今週の金曜日
18:30
○○シネマ前
割り勘でね》
今や奈美の心は激しいリズムで踊り狂っていた。
最初のコメントを投稿しよう!