接近

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竹田からの返信は1時間程して届いた。 奈美のあっさりした文章とは違い、竹田のメールは意外なものだった。   《返信遅くなりました。竹田です。 お礼なんて気にしないでいいのに。 俺も咄嗟にやった事だし。 あ、でももしどうしても気にしてくれるなら…お礼ついでに今度映画でもどう?》   心臓がバクバクと音を立てているのが自分でもわかる。 顔が熱い。   冗談…? 本気…?   どちらとも取れる文章の感じに戸惑いながらも返信してみた。   《Re: 何で映画?(笑) でももしどうしても行くっていうなら…お礼なんだし私がおごるよ。》   暫し返信を待つ……が、全くメールが返ってこない。 もしかしたら冗談を本気にしたと思われたのだろうか。 それとも何か文章がまずかったのだろうか。 考えてみてもわからない。 さらに暫く待ってみたが返信がないので奈美は少し諦めていた。 何を期待していたのだろう…自分には彼氏がいるというのに。   夕飯を済ませ、お風呂に入る。 ずいぶん遅い時間になってしまったと思い、濡れた髪の毛をタオルで拭きながら携帯を開くとメールが1件入っていた。   《Re: 今週の金曜日 18:30 ○○シネマ前 割り勘でね》   今や奈美の心は激しいリズムで踊り狂っていた。  
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