二重恋愛

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竹田は本当はミーティングなどしていないのか…ならば何処で何をして帰宅が遅いのか…。 考えなくとも答えは簡単だろう。   だけど竹田を責める事はできない。 竹田は高橋との事も了承した上で奈美と暮らしている。 つまり、自分がしているのだから竹田にそれを禁じる理由がない訳だ。   だが言い様のない憤りが奈美を襲う。 身勝手とはわかっていても怒りを抑える事ができなかった。 竹田との付き合いを始めて1年半。 一度も疑いを持った事はなかったが、いつから奈美を裏切っていたのだろう──。   問いただしたい衝動を抑え、寝たふりをして竹田の帰宅を待った。 最も、寝ようと思っても寝れるものではなかったが…。       その夜、竹田の帰宅は深夜2時近くだった。 奈美がもう就寝中だと思ったのか、静かにバスルームに向かい、シャワーを浴びると冷蔵庫からビールを出して、飲みながら何かしている。   奈美が耳を澄ませているとカチカチとボタンを押す音── 携帯だ。 誰かにメールをしているらしい。 かなり早いスピードでボタンを連打する音が聞こえる。   しばらくすると、メールの送信が終わったのか、竹田は携帯を閉じて枕元に置きベッドに入る。 疲れているのかあっという間にイビキをかき始めた。   奈美はゆっくり起き上がると竹田が熟睡している事を確認し、枕元の携帯へと手を伸ばした──  
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