47人が本棚に入れています
本棚に追加
竹田は本当はミーティングなどしていないのか…ならば何処で何をして帰宅が遅いのか…。
考えなくとも答えは簡単だろう。
だけど竹田を責める事はできない。
竹田は高橋との事も了承した上で奈美と暮らしている。
つまり、自分がしているのだから竹田にそれを禁じる理由がない訳だ。
だが言い様のない憤りが奈美を襲う。
身勝手とはわかっていても怒りを抑える事ができなかった。
竹田との付き合いを始めて1年半。
一度も疑いを持った事はなかったが、いつから奈美を裏切っていたのだろう──。
問いただしたい衝動を抑え、寝たふりをして竹田の帰宅を待った。
最も、寝ようと思っても寝れるものではなかったが…。
その夜、竹田の帰宅は深夜2時近くだった。
奈美がもう就寝中だと思ったのか、静かにバスルームに向かい、シャワーを浴びると冷蔵庫からビールを出して、飲みながら何かしている。
奈美が耳を澄ませているとカチカチとボタンを押す音──
携帯だ。
誰かにメールをしているらしい。
かなり早いスピードでボタンを連打する音が聞こえる。
しばらくすると、メールの送信が終わったのか、竹田は携帯を閉じて枕元に置きベッドに入る。
疲れているのかあっという間にイビキをかき始めた。
奈美はゆっくり起き上がると竹田が熟睡している事を確認し、枕元の携帯へと手を伸ばした──
最初のコメントを投稿しよう!