猫:犬を飼う

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「女の子が舌打ちなんかしちゃだめでしょ。」 緩やかに笑いかける俺に更に舌打ちで返すと、無口な彼女は独りズカズカと前を歩き、教室を出て行った。 慌てて俺もそれに付いていく。 この距離と位置って、犬の散歩みてぇじゃん。 隣を歩こうとすると、嫌がらせのように少しスピードを上げ、また俺の前にでる。 「春??隣歩いちゃダメ??」 「別に。」 わざわざ聞いてやってるのに一言かよ。 教室を出て校門まで向かう間、何人もの女の子が春とは対照的な表情で俺に挨拶を交わす。 そのたび俺は笑顔とともに愛想を振りまく。 「はぁ…」 やっと校門をぬけたとため息をつくと、少し前を歩いていた春が横目で俺を見ていた。 「ん??」 目があった春にニコリと笑いかけると 「それ、楽しいの??」 冷たい視線が返ってきた。俺を見透かしたようなその言葉に一瞬ドキリと心臓が跳ねる。
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