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  痛みはいつか消えるんだ 幼いボクはそれだけは知っていた。 けど、心の寂しさは 何故か消えなかった。 どこに居ても 何をしてても 痛みに怯えていた。 お父さんがいた頃 毎日、お酒を飲んで酔っ払いながらお酒の瓶でボクを叩くんだ。 そういえばお父さんは お母さんにも叩いていた。 お母さんは悲鳴をあげながら体を丸ませていたな。 「痛い!!痛い!!」と 叫びながら…。 お父さんはお母さんの 髪の毛を引っ張って 鋭い刃物を頬に当てた。 「ひぃっ」 お母さんの甲高い声が 部屋に響いていた。 ボクは押し入れの隙間から それを見ていた。 なぜ押し入れに居るか? それはお父さんに 「入ってろ」と言われたから。  
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