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6時、起床。着替える。
10分、弁当用意。
35分、シャツのアイロン掛け。
45分、朝食準備。
一見良妻賢母な専業主婦の規則正しい一日のように思える。しかしこれは紛れもなく、森千鶴、17歳現役男子高校生の日常生活の一コマだ。
年の割にいささか健康的すぎるこの生活を始めてもう二年になる。
7時10分。
この時間にあいつを起こしに行くのも、また俺の朝の仕事のひとつだが、これだけはいつも円滑に事が進んだ試しがない。
もう10分も鳴り続けているのに、一向に相手にされないでいる機械音が虚しい。その一室の主がそのめざまし時計の力で起きてきたことは、一度も例がない。
俺は仕方はなしに重い腰を上げて、その問題の部屋の前に立つ。
ノックに意味はない。返事も期待してないけど。
ドアを半分ほど開けると、俺の背中越しから明るい朝の光が部屋にすっと差し込む。簡素なパイプベッドにくしゃくしゃになって寄せられているシーツと布団が、そしてその上に投げ出された足が見えた。
もう少し開けると、今度は太股のラインまでが露になり、俺は重い溜め息をついた。
床に落ちていたシーツを一枚拾い、俺は思いきりドアを開け放った。
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