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「だからね、俺達の為に身を引いてくれた香織ちゃんのためにも、絶対に俺は幸せにならなきゃいけないって思ったんだ」
「隼斗さん…‥」
「だから、香織ちゃんに感謝こそすれ、諦めて欲しいとかそういうんじゃないんだ」
それを聞いて、俺はあの日の会話の本当の意味をやっと理解した
あの時、隼斗さんはちゃんと自分達は幸せに過ごしていると報告していたのだ
それを一番に願ってくれた先生に…‥
隼斗さんを諦めきれてない先生からしたら、聞くのは辛いことかもしれない
でも、それでも先生はそれを願っていたんだ
大切な人だからこそ、好きな人だからこそ、幸せになって欲しいと…‥
それを俺は勘違いして…‥
自分の幸せを自慢している卑しい男だと勝手に思い込んで…‥
先生を傷つけたと一人で怒って当たって…‥
第三者の俺が、口を挟むべきことじゃなかったんだ
浅はかなのは、俺の方じゃないか…‥
「川崎君は、香織ちゃんのことが好きなんだね?」
いつの間にか自分の足が止まっていた
そんな俺に、隼斗さんの言葉が降って来る
俯いていた顔を上げると、隼斗さんがまっすぐ俺のことを見ていて
その視線が突き刺すように俺を見ていたから、気圧されて返事が出来なかった
そんな俺に、隼斗さんは続ける
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