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「構いませんよ。見たところ、お侍様、あなたも刀を持っているということは勤浪の志士様なので御座いましょう。主人も放っておけなかったのでしょう。」
屈託の無い笑顔でそう話す重という女性に、なんと言うべきか解らなかったので、
そうか、申し訳ない、ととりあえず謝る。
「ところでお侍様、お名前をお尋ねしても構いませんか。」
藩、と言っていたからには、新撰組関係の奴らではないだろう、男は考える。
「ああ、すまない。わしのことは、坂本と呼んでくれ。」
「坂本様ですね。解りました。」
すると、
重、帰ったぞ。
男の声だ。
「主人です。帰って来たみたいですね。」
少し、お待ちを。
そう言って重は、部屋から出て行った。
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