ある男との出会い

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ああ良かった、お目覚めになられたんですね。 そう言って入って来たのは、先ほど重が言っていた彼の夫の桃山大輔なのだろう。 「お加減はどうですか。」 「ああ、大分良い、どうも世話になりましたな。」 「良かった。坂本先生に何かあったら、と思っておったところです。」 坂本先生、というところをみるとこの男は自分を知っているのだろう。 「わしのことを知っとるのですか。」 「ええ、桂先生によくお話を聞かせて頂いております。近くに来ていると情報があったので、もしかしたら、と思ったのです。」 なる程、と思う反面、少々自分は不用心であったな、と反省した。 「ところで、何故坂本竜馬ともあろうあなたが、こんなところに? 近頃は、蛤御門で戦があってから、我が長州藩も、新撰組も町中で斬り合いばかりしています。」
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