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「ほんと?えんちょうせんせい」
「ええ」
声の主である園長は絵本に出てくる老人のように腰が曲がっていて、花が少し見上げるだけで十分視線が合う
ゆっくりとした動きと優しい声は赤ずきんちゃんに出てくるおばあさんのようだ
「それで、音ちゃんは誰にあげるの?」
ニッコリ笑ったその顔に悪意はない――ないからこそ悲しくなった
泣かないように俯いた花を迎えにきた睦がヒョイと抱き上げた
「こんにちは、園長先生」
「あら、こんにちは聡くん」
「睦ですよ」
「そうそう睦くんよね」
園長はオホホと上品に笑う
間違えたことは気にとめていないようだ
わざとではないし睦も咎めようとは思ってない
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