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「花は音と間違えられるのが嫌か?」
「…いやじゃないけど……」
楓の手のひらと同じぐらいの大きさの足をモジモジさせた
その様子は言わなくてもわかる
「俺もガキのころはよく四葉と間違われたよ」
「よっちゃん?」
「そう、それがすっげー嫌だった」
苦虫を噛み潰したような顔
それは幼い花にもわかりやすかった
「よっちゃんのこと…きらい?」
「いや…嫌いじゃないよ」
好きだよ、とは答えられない機微はまだわからないだろう
「だから言い返すんだよ、間違えられたら違うって何度でも」
嫌だからではなく、自分をわかってもらうために
また間違えられた
そうやって拗ねて下を向いていたら相手はいつまでも自分の顔を覚えてくれない
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