父の蒸発!

2/2
601人が本棚に入れています
本棚に追加
/311ページ
あれは私が小学校④年生の終わり頃、父親が家にいなくなった。元々不規則な仕事をしていたから不思議と気にならなかった。そんなある日母から話しがあるって言われた。なんだろう?って思ったけどまだ④年生の私にわかるはずもなかった。 母『お父さん、もう帰っこないかもしれないの』 私『なんで?』 聞いたけれど母は答えてくれなかった。だけど子供心にそれ以上聞くのはダメなんだと思った事は覚えてる。それからが嵐のようだった。蒸発!今でこそテレビで度々聞く言葉もその頃の私にはわからなかった。そう私の父は母と④人の子供を捨てて家を出たのだ。捜索願いをだしテレビで『お父さん!帰ってきて!』 ってお決まりの人探しの番組に出たりした。①番下の妹はまだ④才だった。お決まりの台詞の意味もわからずに笑っていたっけ…私は泣きたいケド泣かなかった!(かわいくないなぁ…)だって悲しいのは母のほうに違いないから。テレビの効果は絶大だって思った。テレビを見ていた父の彼女から連絡が入ったから。父と彼女は九州にいた。しかも彼女は妊娠していた。母と私達姉妹と母の知人で九州に向かった。そして父と彼女と母の③人で話し合いがあったのだけれど、口論になった父が母と揉み合いになり母が階段カラ落ちた。ドラマなんかだとスローモーションになったりするけど、現実は全く違っていた。子供の私達は違う部屋にいたけど母の叫び声と父の叫ぶ声に驚いて走っていくと大人達が慌てて私を停めて『来ちゃダメ!』って戻した。救急車がきたり警察がきたりわけもなく怖かったけど、妹達はまだ小さいし私は『大丈夫!大丈夫!』と言うしかなかった。次の日、私達姉妹は父と彼女と宮城に戻った。戻るしかなかった。後カラ母は入院したと聞かされた。しばらく父と彼女の家での暮らしが始まった…
/311ページ

最初のコメントを投稿しよう!