第十一話 「真実」

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「淳……落ち着いて下さい、笠置様を困らせてはいけませんよ」 ヴィンスが彼を制した。 淳はまだ、何か言いたげにしていたが、黙って葬送屋から顔を背けた。 ヴィンスが雪子に向かって頭を下げる。 「失礼しました。笠置様……貴女には直接、関係が無いのに、ご無礼をお許し下さい」 「いえ……けど、私もこの場に居る以上、間接的にですけど関わってます、でも何て答えたらいいか……」 後半部分を困った様な表情をして雪子がそう言うと、ヴィンスは再度、彼女に頭を下げた。 すると、黙ったままでいた葬送屋が口を開いた。 「淳が言った通りに私は傍観していただけだ……だが、手を出した所でロビンの運命は変わらないさ、違うかな?」 「……!!」 赤紫色の瞳を細めながら葬送屋は静かに語る。 淳は葬送屋を睨み付けるが、それ以上は何も言わなかった。 「あの日の出来事は、私にもアリスにも忘れられない……君の運命は大きく狂ってしまったからね」 「そうよ!あの日、全てを失った私には何も無かった、憎しみだけが生きる糧だったわ!」 アリスが椅子から立ち上がり、葬送屋に歩み寄ると苦痛そうに顔を歪めた。
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