第十一話 「真実」

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「お嬢様!」 ロビンが駆け寄り、倒れたアリスを抱き抱える。 「私は非現実な事は気に喰わん。第一、私が愛したのはあの女の美しさのみだ」 感情の無い声で言う父親をアリスは涙目で見る。 そんな娘をグランは虫けらを見るような目をしていた。 「あのまま大人しくしてればいいものを……大方、お前を連れて逃げるつもりだったのだろう」 剣を握る手に力を込め、倒れている妻を足先で蹴る。 「助けてやった恩も忘れるとは…」 「やめて!お父様」 アリスは母親に駆け寄ろうとしたが、父親が険しい顔で睨んだ為、その場に立ちすくんだ。 「もうお前もいらない。母親の元に逝くがいい……母子で私に恥をかかせおって!」 剣を握り締め、アリスに歩み寄る。 「死ね!魔女め!」 「お嬢様っ!危ない」 剣をアリスに向けてたと同時だった……。 アリスを庇い、ロビンが切られ、周囲に血が飛び散った。 ゆっくりとロビンが床に倒れた。 「いやああああ!!ロビン!」 アリスが悲鳴を上げ、ロビンに駆け寄る。 ロビンは弱々しくアリスに微笑みかける。 「お怪我は……御座いませんか、お嬢様……」 「喋っちゃ駄目っ!今、治してあげる」 アリスは治癒魔法を使おうとしたが、ロビンがそれを制した。
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