第十一話 「真実」

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「逃げて……下さい、お嬢様」 ロビンが苦しそうに顔を歪める……アリスは泣きながらロビンを抱き抱えた。 「僕は……貴女に会えて良かった」 アリスに弱々しく微笑むと目を閉じた……それを最後にロビンは息耐えた。 「嫌っ!ロビン、目を開けて、私……1人になっちゃう!!」 悲しみに暮れるアリスをグランは哀れみもせず、冷たい目で見下した。 「馬鹿な使用人だ、魔女なんか庇うとは……」 アリスは俯いたまま、ロビンを見つめた。 彼の頬に彼女の涙が一滴落ちた……。 「……ロビン」 アリスは涙を拭うと、自分の初めての友達で数少ない理解者である友を……そして、それを奪った人物を見た。 彼女の中に初めて殺意、憎しみ……負の感情が生まれた瞬間だった。 「……許さない」 か細い声でアリスが呟いた。 父親にはそれが聞こえなかったのか、グランは再度、アリスに剣先を向けた。
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