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「グラン氏と……ロビン、彼方に倒れている金髪の女性は……母君かな」
「そうよ……けど、どうでもいいわ。お父様もお母様も……」
アリスはか細い声で答えると、葬送屋に目線をやった。
「おじ様、お願い!ロビンを生き返らせて!彼を助けて、おじ様は魔術師でしょ、何か方法を知ってるでしょ?」
アリスは葬送屋を見上げながら懇願するが、黒衣の男は首を横に静かに振った。
「死者は生き返らない、人の生死は操れない……魔術師であってもだ」
それでも、彼女は諦めずに頼み込む。
「お願い!ロビンを……生き返らせて!この人は、大切な……」
「残念だが出来ない。人の死の運命は変えられないのだよ」
葬送屋は、静かな声で語る。
アリスはそのセリフに氷ついた様な表情になる。
「どうして!……何故、どうしてよ!」
アリスが涙を流しながら、彼にまくし立てるが、葬送屋は意見を変えない様だった。
やがて、彼女はがっくりと項垂れる。
「……嫌い」
小さな声で呟く。
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