第十一話 「真実」

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「それが200年前よ、その後、外法で不老を得たの」 椅子に腰掛け、暗い表情でアリスが全てを語った。 話終えたアリスは、その事を思い出したのか、そっと目を伏せる。 話を聞いていた当事者以外の淳、ヴィンス、雪子は信じられないという表情で聞き入っていた。 「二度目に会った時には、10年後……既に不老の術を得た後だったかな。そして、その時に名前を奪われたんだったな」 葬送屋は表情も口調も普段と変わりない様子で語る。 そのセリフにアリス以外の三人が反応を見せた。 「葬送屋さんの名前って……」 雪子が隣に座る葬送屋に目をやると、彼は鳶色の髪をした従者を指差した。 「ヴィンセント……私の本名だよ、今はアリスの従者の名前になってしまったがね」 葬送屋は口元に浮かべている笑みを深めながら言う、ヴィンスは何も言わず、無表情でアリスの傍らに佇んでいるが、彼は緑色の瞳を僅かに曇らせた。
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