166人が本棚に入れています
本棚に追加
/191ページ
「何故、名前を奪われたのですか?それに何か意味でも……」
「魔術師や魔女にとって名前……本名が相手に知られるのは、命に関わるからよ」
雪子の疑問に正面に座るアリスが答える。
「名前が分かれば、どんな呪いもかけられるからよ、命を奪ったり、不幸にしたりね……葬送屋に対しては無意味だったけれど!」
アリスが不機嫌そうに葬送屋を睨んだ。
「貴方がアリス様が苦しむ原因なんだ、どうなんだ!何で、ロビンって人を助けなかった。ロビンが死ぬのを知ってたんだろ?」
それまで、黙って傍に居た淳が葬送屋に怒鳴った。
最初に会った時の丁寧な口調を忘れる位、怒っている様だ。
葬送屋は、淳に目線をやると口を開く。
「ロビンはあの日、亡くなる運命だった、仮に助けられたとしても〝死〟が確定した運命は変えるのは不可能だ。我々、人間が自由に出来ない出来事なのだよ」
「だが、アリス様があんな酷い思いしなくて済んだかもしれない筈だ!貴女だってそう思うだろ?」
淳は雪子に問いかけるが、雪子はすぐには、答えられずに困った様な表情をしただけだった。
最初のコメントを投稿しよう!