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「ずっと貴方を殺す事や追い詰める事だけを考えて生きてきたのよ!貴方も味わえばいいわ、周りにいる大切な人を失う気持ちを!!」
アリスはテーブルに置かれた果物ナイフを掴み、それを雪子に勢いよく降りおろした。
だが、ナイフは雪子に刺さらず雪子を庇った葬送屋の掌に刺さった……ナイフが深々と突き刺さっており、血が溢れた。
雪子が真っ青になり悲鳴をあげる。
「葬送屋さん!!」
「そういうモノを人に向けるのは良くないよ、アリス」
流石に痛いのか、眉を潜めた葬送屋は、ナイフを抜いた……掌からさらに血が溢れ出る。
「血が……!」
雪子がハンカチを取りだし、応急措置をする。
ヴィンスが薬箱を取りに行こうとするが、葬送屋が制した。
「構わないよ、すぐに塞がる」
ハンカチにくるまれた自分の手を見る。
血が滲んでいるが、既に出血は止まっているみたいだった。
「この程度では怪我のうちにも入らないさ」
葬送屋は抜いたナイフを怪我の無い手でちらつかせた。
その瞬間、ナイフは腐食し、その原型を崩した。
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