第十一話 「真実」

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「私を殺す方法があるなら、是非とも教えて欲しいものだが……見つかったかね?」 葬送屋が調子を崩さずに言うと、アリスは更に表情を険しくさせた。 「見つからないのだろう?」 低い声で笑いながら言い、手に巻かれたハンカチを取ると、手を見せる……刺されて傷がある筈の手は綺麗に治っていた……雪子もヴィンス、淳が驚いた様に彼の手を見つめた。 「傷が……あんな酷い怪我だったのに」 「すぐ塞がると言っただろう?雪子」 驚いた表情の雪子に彼はそう言う。それを見たアリスが不機嫌そうに葬送屋を睨む。 「嫌な人!何よ……分かってるわよ!殺す方法なんか無いくらい!」 アリスは険しい表情のままで葬送屋に向かって悔しげに叫んだ。 「1人になった寂しさ……貴方には分からないわよね!長く生きていた故に感情が欠落してしまったものね!」 「アリス様……」 淳が傍に寄ろうとしたが、ヴィンスが制し、首を横に振った。 彼は何とも言えない表情を浮かべながらアリスを見る。
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