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「私の気持ちなんか理解出来ないわよね!貴方なんかには……」
アリスがまくし立てるのを葬送屋は反論せず、彼女の言葉を黙って聞いていた。
アリスが更に何か言おうとした時、彼女が急に崩れる様に膝を着いた。
「アリスお嬢様!!」
ヴィンスと淳が顔色を変え、アリスの傍に駆け寄る。
「来てしまったか……」
「え?何がですか?」
「寿命だよ」
そのセリフに首を傾げながらも雪子はアリスに目線をやると、驚いた表情で彼女に釘付けになった。
アリスの腕が砂の様にさらさらと崩れてかけていたからだ。
彼女の長く綺麗な金髪も毛先からゆっくりと砂に変わっている。
その様子を見て、葬送屋は赤紫色の瞳を僅かに伏せた。
「ヴィンスさん、これは……」
淳が困惑した様な表情でヴィンスに目を向ける。
彼は緑色の瞳を曇らせる……代わりに葬送屋が口を開いた。
「先程のセリフ通りだよ、ガタがきたのさ……なるほど、雪子の影を拉致したり、焦りにも似た行動は……その為だったのか」
淳は、血の気が引いた様に青白い顔をしてアリスを見た。
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