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「アイツは殺す事はおろか、傷すらつかない……本当に憎らしいわ。ごめんね、ヴィンス、淳……巻き込んでしまって」
「何を今更」
「そうですよ。謝る事なんてありませんよ、アリス様」
労る様な表情で二人が、アリスに語りかけると、彼女は力なく笑う。
「主である私が死ねば、貴方たちも死んじゃうのよ?嫌じゃないの?」
淳は、砂になりかけているアリスの片手にそっと触れ、優しげに微笑む。
「最期まで御一緒します、1人はお嫌いでしょう?」
「勿論、私もです」
ヴィンスも続いて手を重ねる。
そんな二人をアリスは驚いた表情で見ていたが、蒼い瞳を嬉しそうに細めた。
「有難う、ヴィンス……淳」
そうしてる間にも、彼女の右足、次いで左足までもが砂と化してゆく……その様子を葬送屋は静かに、雪子は悲しげに見ていた。
アリスは、再度、葬送屋を睨む。
「貴方が憎くて堪らないわ、葬送屋。結局、貴方を殺せなかったもの、けれど……」
そう語るアリスの身体は、既に上半身しか残っていなかった。
「貴方は永遠に生きなくてはいけない……1人でね、……その孤独を味わいながら生きるがいいわ!」
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