第十一話 「真実」

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そんなセリフを言いながらも、彼女の瞳からは涙が溢れていた……アリスは、ゆっくりと瞼を伏せる。 「ロビン……私、漸く傍に……」 それが、最期の言葉だった、アリスの身体は砂となり、消えた……彼女が着ていた深紅のエプロンドレスと砂だけがその場に寂しげに残った。 同時に部屋にあった人形やぬいぐるみも砂となり崩れる。 「さよなら……アリス」 葬送屋がアリスだった砂を見て、静かに……だが、どこか労る様な口調で別れを告げた。 背後に居る雪子は、泣き出しそうな表情でアリスだった砂を見ていた。 「……アリスちゃん」 砂へと変わってしまったアリスを見ていた二人の従者が次に葬送屋に目線を移した。 「この名は、貴方の名前だったのですね。大切な友人の名前とばかり思っていましたよ」 ヴィンスが感情のない声で言う。 「私から奪った名を従者につけるとはね、彼女らしい嫌がらせだ……これでは、名前を取り戻せない」 「渡す気はありませんよ、お嬢様に頂いた大切な名前ですから」 そう言って葬送屋の傍を横切り、椅子に座る雪子へと向かった。 「笠置様、大丈夫ですか?」 雪子に目線を合わせ、ヴィンスはいつもより優しげな目を向けた。
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