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雪子はゆっくりと頷くのが精一杯で、言葉を発する事が出来なかった。
「アリスお嬢様は、貴女を気に入っていました、以前……こう仰っておられましたよ。大切な人に少し似ている、と」
「私が、ですか?」
ヴィンスのセリフに雪子は意外そうな顔をした。
「アリスお嬢様の御友人……ロビン様、初めてお会いした時、貴女と同い年だったそうですよ。それに、同じ優しい雰囲気がしたと……仰っておられました、だから傍に置いておきたかったのですよ」
「……」
雪子は砂の山を見た……アリスは、どんな気持ちで200年を生きたのか、ずっと寂しさや悲しみ、憎しみを抱きながら生きたのか……そして、それを抱いたまま、死んでしまったアリス……。
あれだけ怖い思いをしたにも関わらず、雪子にはアリスを哀れに思う気持ちが胸に沸いた……しかし、同時に葬送屋から言われたセリフが脳裏に鮮明に浮き上がった。
『アリスに同情は不要だ、無論、私に対してもだよ』
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