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「少し疲れた、私はもう休ませてもらうよ」
「……はい、お休みなさい」
黒衣の主は、箱を持って談話室を去った……後には、藍と雪子だけになると彼女が口を開いた。
「藍さん、聞きたい事があるんです…」
「はい、何でしょうか?」
「ヴィンセントさんが言ってた事なんですが……アリスちゃんが何故、葬送屋さんにロビンさんを生き返らせて、って言ったのか。それって…」
雪子がそこまで言うと、藍は、顎に手を当てながら暫く考えていたが……やがて、口を開いた。
「オレの勝手な想像ですけど、彼女は……きっと頭では、ロビンさんが生き返れないって分かっていたかもしれません」
「けど、生き返らせてって、葬送屋さんに断られてますよね」
「一度は、そう願った……けれど、叶わないと言われた。それでも、旦那に願ったのは…」
一度、言葉を区切った藍は、少し悲しそうな顔をしたが、すぐに真顔に戻り、続きを話し出した。
「旦那に傍に居て欲しかったんじゃないでしょうか……雪子ちゃんはどう思いますか?」
「私は、信頼していた葬送屋さんがロビンさんを生き返らせるのが不可能と言ったのに対して、裏切られた気持ちになったんじゃないかって、思いました」
「……そうですか」
雪子のセリフに藍は、やや目を伏せながら答えた。
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