第十二話 「終幕」

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「けど、藍さんの考えの方が近いんじゃないかって私は思いますよ」 「むしろ両方かもしれませんよ……彼女は1人で居るのが耐えれなかった、大切な友人が居なくなってしまって寂しかったんでしょう。同族であり信頼していた旦那に我儘を言って、甘えたかったんでしょうね」 そう語る藍の表情は、悲しそうとも苦しそうとも取れる複雑な表情をしていた……それを見て、雪子は再度、胸が苦しくなった。 「まだ小さな女の子だったんですから、寄り掛かる存在が欲しかったんでしょう。ずっと1人で居たなら尚更…」 それを聞いて雪子は考えた…。 当時のアリスの気持ちを……大切な友達を無くし、悲観に暮れていた彼女には、愛してくれる存在が他に居なかった。 自分と母を拒絶した父、魔女だというのを隠しながら生きる苦痛…雪子には理解出来ない苦しみを抱えた哀れで悲しい少女…。 藍の言う通りに、誰かに傍に居て欲しかった、甘えたかったのだろう……そう考えると、改めて悲しい気持ちになった。 そんな雪子の心情を悟ってか、藍が再び口を開く。
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