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(なんて、私の自分勝手な考えかもしれないけど……そんな気がする)
雪子はそんな考えをボンヤリと頭に浮かべた。
「さて、そろそろお別れだ、雪子……いつの日にか、また会う日まで……さよならだ」
ボンヤリと考え事をしていた雪子に葬送屋が手を差し出した。
我に返った雪子も慌てて、同じ様に手を伸ばし、彼と握手を交わした。
「…さよなら、葬送屋さん」
「いい人生を送りたまえ、雪子」
葬送屋が静かにそう言うと、彼の姿は目の前からゆっくりと消えた。
アッサリとした別れ方だが、それが彼らしいと雪子は思った。
アリスに出会ったのがきっかけで、葬送屋、藍と出会い、共に生活し、様々な事があった。
この3ヶ月の出来事は、自分は死ぬまで……いや、死んでも忘れないだろうと、雪子は思い、久しぶりの我が家に戻っていった。
また、会えるその時を思いながら……。
今日から、雪子のいつも通りの日常が戻ってくる……。
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