第十二話 「終幕」

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何となくではあるが、何故、彼女を突き放したのかが分かった気がした。 永遠を生きる葬送屋の傍にアリスが居ると、彼を慕う彼女は壊れてしまう……彼を置いて死ななければならない自分に耐えられず、自ら命を絶つかもしれないから…。 だから、あえて自分を憎む様な言い回しをしたのだろうと。 だが、彼女は壊れてしまった故に外法に手を染め、結果……滅んでしまった彼女に、葬送屋は多少……申し訳ないという気持ちがあるのだろう。 だとするならば、何という分かり難い上に、不器用な主だろうか。言っても本人は否定するだろうが。 (旦那は、人間が自ら命を絶つのを嫌いますからね。全く、分かりづらい人ですよ) 藍が窓を見ながら思った、部屋の重苦しい空気とは違い、外は雲1つない綺麗な青空だった。 「旦那」 「何かな?」 「旦那は、オレを助けてくれました……居場所も家族も記憶も無いオレを共に連れて行ってくれた……まぁ、無理強いしたんですがね」 「懐かしいな、20年以上も前の話だったかな…連れていけと騒々しかったのをよく覚えているよ」 葬送屋は、その事を思いだしているのか、目を細めた。
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