いつもの日常に、波紋

4/10
前へ
/94ページ
次へ
ふと、小脇に小さな猫がいた。 段ボールに入ってにゃぁにゃぁ鳴いている。 …ああ、あれだな。 お決まりの。 『捨て猫』 猫は好きだが…生憎、今は登校途中。君に割いていられる時間はないのだよ。ごめんね。 スルーで猫の横を通り過ぎようとしたとき。 前から女の子が走ってきた。 この辺じゃ見たことない制服だな…。何処の高校だろう?しかも両手にヘイユーの袋。 女の子は子猫の傍にしゃがみ、にっこり微笑みながらいった。 「遅くなってごめんね。ニャルベス。今日はカルカン持ってきたから」 ……… ……………… ……………………うん。 突っ込み処満載だ。 まず猫と会話するなよ。 そして名前なんとかしてやれ。 ニャルベスって… 俺でももうちょいましな名前考えられると思うぞ。 なぁんて。観察していたらチャイムが微かに聞こえた。 …あ。遅刻…。 無駄とは思いつつも俺はダッシュで学校へ向かった。 …気になったので、最後にちらっと振り返ってみた。 彼女は… ニャルベスと一緒にカルカンを食っていた。
/94ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加