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「全く、だから急がないと遅刻するっていったのにぃ」
教室で充に文句をぶーぶー言われながら俺は席に着いた。走ってきたから息も切れ切れだ。
「悪かったよ。…でも、HRまだ始まってないのか?」
俺はてっきり先生に怒られて、皆の前で恥をかくと思っていたのに。教室の中に先生は見当たらず、他の生徒も騒ぎまくっていた。
「あー、何か転校生が来るらしいんだけど、まだそいつが登校してきてないらしくてさ。職員室で騒いでたぜ」
「ふぅん」
転校生…季節外れだな。どーせあれだろ?親の転勤で…とか、ありきたりなパターン。
「よう恭介。遅かったじゃんか」
充と話していると後ろから声をかけられた。
声の主の名は霜ヶ関優也。一年の時にたまたま話してみたら馬が合った、つるみ仲間。
優也の横には同様に親しくなった鮫島犬がいた。
「ああ、ちょっとな…」
言葉を濁した俺を優也は鼻で笑った。
「ふん。まぁいいけどさ。転校生、女の子らしいぜ」
「マジで!?」
『女の子』のワードにいち早く食い付いた充。
…単純な奴め。
まぁ憎めなくて可愛い奴なんだが。
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