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街の広場の端を歩く、小さな黒い影
尻尾を水平に保ち、威風堂堂と歩く一匹の黒猫
「また現れたぞ…!」
側を通った数人の子供の一人が黒猫を見つけて叫んだ
その黒猫に向けて、子供達は石を投げ始めた
回りの大人は注意は愚か、見振もしない
いつものことだ。
(奴等の話の中に黒猫は不幸をもたらすという
馬鹿馬鹿しい噂があるらしいが…
オレがお前等に何をした?)
子供達は黒猫の姿が見えなくなると何処かへ去った
路地に逃げ込むと、身軽な体でブロックの上を渡り
静かで心地よい自分だけの場所に着くと
背伸びをし、寝転んでは独りの時を過す
ふと匂いに体を起こすと、屋根から降りては花屋の横
飲食店の厨房からの匂いに誘われてやって来た
その時、先程の子供達が近付いていることに気付かなかった
「アイツが居た…!」
子供達の中の一人が叫ぶ
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