焦り

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俯きながらマネージャーは社長と話した事を思い出した。 『あいつもすっかり役者が板についてきたな』 「しゃ、社長!いつまで彼に俳優業をやらせるおつもりですか?彼はミュージシャンなんですよ!?」 『馬鹿言え!ミュージシャンと言っても全然売れとらんではないか!それに今は作曲も出来ない男のピンなどいらん!アイドルじゃあるまいし…。 それに、あいつはツラがいい。俳優業の方が向いとる。』 「でも……」 『デモもストライキもない!ワシはあいつの為を思ってドラマやバラエティーの役を取ってやってるんだ!お前の仕事はあいつを説得し、仕事に専念させる事だ!わかったら行け!』 「……わかりました。失礼します…」 そうは言ったものの、マネージャーは男に本当の事を言えずにいた。 男は4年前にソロデビューし、デビューシングルはそこそこ売れたものの、その後リリースした数枚のシングルはいずれも売れず、最近は会社の方針で音楽業より俳優業に重きを置いていた。 男の名前は 柳 氷河 元TWIN DRAGONのヴォーカリストである。
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