1719人が本棚に入れています
本棚に追加
一方、日本では……
瀧澤のプレイを見兼ねた瞳が、岡本にテレビを切るよう頼んでいた。
瀧澤の左手から噴き出す血液は見ていて痛々しく、切なさに胸が圧死してしまいそうらしい。
しかし、岡本はその頼みを受け入れなかった。
それどころか、瞳には最後まで見る義務があると語気を強めた。
『瀧澤さんは、あなたの為に命を賭けてプレイしてるんですよ…』
すると藤井は……
「命って大袈裟な……」
岡本の強い口調に泣き出した瞳を擁護する。
確かに出血は酷いが、出血死の場合、その殆どがその前に気を失う。
従ってプレイをしてる間はそのような心配はないとの見解だったのだろう……
だが、岡本の懸念する事は出血死ではなかった。
それは感電死一一
滴りゆく血液がジャックに触れ、漏電する事を危惧していたのだ。
当然、瀧澤もそれは分かっていたはず……
だからこそ、それでもこの作戦に踏み切った瀧澤の気持ちを理解し、分かってあげる必要があるのだと言った。
『俺もアイトの演奏を聴いて、瀧澤さんは負けると思った。でも、瀧澤さんは諦めてなんかない。勝とうとしてる。
自分の為に……。そして、あなたの為に!だから、瞳さん。あなたは逃げださずに見る義務があるんです!』
岡本は涙を溜めながら上を向いた。
瞳は布団に顔を押し付け涙している。
藤井も下唇を噛みながら、眉間に皺を寄せ拳を握りしめた。
まるで自分も、この身の一部をもぎ取られたような……
そんな悲しい痛みが3人を包んだ……
最初のコメントを投稿しよう!