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「ところで岡の字、この後行くんか?」
『当たり前でしょ?瀧澤さんも、わざわざこんな日に式挙げんでも…』
「あほ!俺はこの日やから挙式したかってん。まぁ、これが俺なりの気持ちや。伊藤によろしく言っといてくれ」
『あはは。瀧澤さんらしいすね。分かりました』
仲良く紫煙を燻らせる二人。瀧澤はかしこまった式に疲れたらしく、タキシードの下に着ているシャツのボタンを外していた。
『ところで瀧澤さん、新婚旅行どこ行くんですか?』
「旅行?ああ、北海道。温泉行くねん」
『ええーッ!新婚旅行で国内すか?セコッ!』
「セコいって何やねん!俺もそう思ったけど、瞳がどうしても行きたいんやと。一面の銀世界に囲まれた露天風呂に……。3月でも積もってる所あるみたいやねんて」
『そうなんやぁ…』
新婚旅行の話しで盛り上がる二人。
その時、まるで話しの終わりを見計らったように参列者の呼ぶ声が……
おーい!瀧澤ッ!写真ッ写真!
「悪い!岡の字。呼ばれてるから行ってくるわ。伊藤によろしく頼むで!じゃな!」
そう言うと、瀧澤は輪の中に駆けて行った。
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