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式が終わると岡本はアイトの実家へと向かった。
ネクタイと荷物だけ先に実家へ置きに帰り、白いシャツと黒のスーツのまま、歩いて向かう。
途中、ギターだろうかベースだろうか。ソフトケースを背負った中学生ぐらいの少年とすれ違う。
岡本はその光景を見て、何だか懐かしい気持ちになった。
アイトの家に着いた。
岡本はアイトの両親に挨拶すると、線香をあげ仏前に手を合わせた。
仏堂の中央にはギターを抱えるアイトの笑顔があった。
今日はアイトの一回忌。
アイトはロンドン郊外のアイスマン家のある集合墓地に石碑を建てたが、納骨先に選んだのは伊藤家だった。
あの壮絶な決勝戦に勝利し世界No.1ギタリストとなったアイトは、一週間後に倒れ、その2日後に息を引き取った。
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