幻の12弦ギター【下】

焦り

楽屋へと帰る渡り廊下で、マネージャーが男に近づき話しかけてきた。

「お疲れ様でした～。マジ感動しました～。」

マネージャーが笑顔で労いの言葉をかけるのとは裏腹に、不満な顔をあらわにする男。
男は堪らずマネージャーに尋ねた。

『なぁ！いつまでこんな仕事するんだ？俺は俳優じゃない、ミュージシャンなんだッ！』

男の強い口調にマネージャーは顔を俯け、小さくスイマセンと言った。