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「あまり外出できないの」
マリアはつまらなそうに言う。
「ご両親厳しいの?」
「そんなところ」
「ならば、ご両親と一緒においでなさい。なんなら、私が説得してあげるから」
マリアはじっと僕の真意を探るように、僕の顔を見つめた。
「私、あなたにも興味があるの」
「え?」
「神の言葉を代行して人々に救いの手を差し延べる牧師様がどんな人物なのか」
「恐縮だね。でも、人を救うのは主であって、私ではないよ」
「そうかしら」
マリアはいまいち理解できないというように、首をかしげた。
ふいに彼女を突き放したい衝動にかられる。
神なんていない。僕も、誰も人を救うことなんて出来やしないんだ、と。
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