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「おい、トム、ちょっとやらしてくれないかな」
トムはすぐにでも代わってもらいたいのに、渋るんですね。
とうとう、ベンは林檎をまるごと1個あげるから、ペンキ塗りをやらせてほしい。
そういう提案をするのです。
トムはみごとに、ペンキ塗りをベンに押し付けるんです。
それも林檎という戦利品を手に入れながら。
ベンがペンキ塗りに飽きてくると、次々とやってくる友達に同じ手口を使って、ペンキ塗りをさせていくんです。
昼過ぎになると、朝のうちには貧しかったトムがものすごい財産家になっている。
トムがペンキ塗りと交換に手に入れたものは、
凧、ネズミの死骸とそれを振り回す紐、弾き球12個、
口琴の一部分、目に当てて景色などを見るための青いガラス壜の破片、
糸巻きの大砲、どんな錠前にも役立たない鍵、チョーク片、
ガラス壜の栓、ブリキの兵隊、おたまじゃくし2匹、かんしゃく玉6個、
片目の猫、真鍮のドアの取っ手、犬の首輪(ただし犬はふくまれていない)、
ナイフの柄、オレンジの皮4片、使えなくなった窓枠など。
トムが愉快に遊び暮らしている間に、
遊び仲間は、いくらでもいました。 数時間で塀は三重に塗りつぶされたのです。
もしペンキがなくならなかったら、トムは村の子どもたちを破産させていたでしょう。
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