携帯

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美佐は居心地が悪くなり、逃げるようにドアから離れていった。 携帯はその場に置いて、 「美佐は…僕の事を恨んでいるのだろうか……」 『珍しく弱気ですね、宮様。美佐様の気持ちは、ワタクシには分かりかねますが…』 牧が少し考えたような間(ま)をとる。 「…ムリをして返さなくていい……すまなかったな、仕事中に電話などして駄目な若頭だな、僕は…」 『宮様…ワタクシは、宮様の一の部下で在ることに誇りを持っております。もちろん、親友としても………では。失礼致します。』 ピ、、 「……ありがとう…」 宮の呟きは誰にも届かず消える。 その頃美佐は、家を出て制服のままひとり歩いていた。 「あ、服…」 今になって制服のままということに気付いたがボーっとしたまま、何をしようという気もないらしい。 「勘違いしてるのは、宮の方だよ…」 近くの公園に入り、ベンチで時間を潰した。
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