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ポツ…ポツ、ポツ…
「あ、夕立?」
美佐が少し転た寝をしていたうちに、雨が降り始めた。
「…冷たい、、」
服が濡れてしまうと言うのに美佐は嬉しそうに微笑む。あの写真たてのような幼い笑みではなく…
哀愁を帯びた女の笑みだった…
「冷たいよ…雫…冷たい…ね…」
雫。そうもう一度呟いた美佐の目には涙が浮かんでいた。
「美佐が出ていった?」
「はい、美佐お嬢様は一刻ほど前にお出になられて…行き先も告げずに……」
「………そうか、下がれ。」
美佐の帰りがあまりにも遅く、流石に謝るべきかと考えていた宮。
美佐が帰ってきたら…そう思い待てど暮らせど美佐は一向に帰ってくる気配すらない。連絡を取ろうと美佐の携帯へかけるも繋がらず、居ても経っても居られず使用人に話を聞けばこのありさま。
「…美佐っ…」
宮は外へと駆け出していった。
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