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「……宮様…」
牧が気を使うように宮に声をかける。
「気にするな。今回は僕の失態だ。何者にも美佐に触れさせはしない…」
「……っ」
牧は宮から発せられる狂気に耐えられず身震いをした。
「……美佐…」
優しく美佐を撫でるその手は震えていた。壊れてしまわないように優しく、優しく…
「宮様、例の件についてお話しが……」
「今は駄目だ、組の話もだ。」
「で、ですが…」
「駄目と云ったのが聞こえなかったのか？牧、」
殺気が、尋常ではない殺気が牧を襲った。
「美佐にはナニも聞かせない…もう悲しみに暮れる美佐を見たくないんだ…二度と…」
「宮、様……」
「“宮”と呼べ。僕の親友なんだろ？」
「！ あぁ、宮！」
それからしばらく、美佐の家に着くまで楽しく少年のように話していた。
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