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自分も宮とは幼なじみ。
と。呼ばれるほど長い付き合いなのに、牧の名すら聞いたことはなかった。
何故かそのことに…ただ、宮の部下の名を知らなかった。そんな知らなくて当たり前だった事。
ただ牧が宮の幼なじみ、だということだけなのに…
――なんで、私、クヤシイなんて思ってるのよ
美佐は少し頭を振って、平然とした態度を装いながらハッキリとした口調で牧に返した。
「宮からの伝言を聞かせて下さい」
「その前にヒトツ、よろしいでしょうか」
牧があまりにも寂しそうに言うので、美佐は静かに頷いた。
「宮は本当に心から貴女を愛している」
「ぇ?」
どういう事?と聞き返す前に
「伝言です『君は今日から山岡組から離れて違う県の学校へ行ってもらう』」
「なっ!!??」
「まだ伝言は続いております『そして2ヶ月後の君の誕生日に迎えにいく。家に帰る事は許さない、』」
「自分勝手すぎるわ!」
「お静かに。『美佐、2ヶ月の間に全て終わらせる。君に真実を告げよう。その日まで、さようなら』」
「さよ、なら…?」
「伝言は以上です。」
「うそ…宮が、だって、」
――一度たりとも『さようなら』なんて言った事ないじゃない
言い知れぬ嫌な予感が美佐の頭を駆け巡った。
「美佐様、失礼します」
牧の言葉と共にハンカチが口元に宛てられた。
すると急に眠気が襲ってきた。
――真実ってなによ、宮!
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