2/6
前へ
/8ページ
次へ
希代の陰陽師と評される男、安倍晴明。その後継者であり実の孫でもある安倍昌浩は、都の安全を守るため今日もまた日課の夜警に出ていた。 ◆◆◆ いくらあの晴明の後継とは言え昌浩はまだ数えで14歳。経験値が圧倒的に低い昌浩は、まだまだ未熟で半人前である。そんな彼を心配して、祖父の晴明は護衛をつけた。 今昌浩の足元をちょこちょこ歩いている妙な生き物がそれ。大きさは大体猫くらいで、全身真っ白な毛並みに覆われている。勾玉のような突起が首許を一巡し、額には紅い模様がある。世界を見つめる瞳は透き通った夕焼けの色。 昌浩はこの異形を『物の怪のもっくん』と冗談混じりに呼んでいるが、その本性は安倍晴明の配下、十二神将が一人騰蛇だ。今は彼自身の意志で異形の姿に身を窶している。 ◆◆◆
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

126人が本棚に入れています
本棚に追加