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「最低だと分かっていても…キレイに成長した遊里を見て…私は他の男にとられたらと思うと我慢できなくて…」
最初に私をひどく抱いたのは、嫉妬からだったんだ。
でも…旦那様はそれからずっと優しかった。
羽山にひどくされた時も。
最後の夜もずっと。
「旦那様は…私を愛しているんですか?」
本当は分かっているのに。
どうしても聞きたかった。
旦那様の口から、愛の言葉を…。
旦那様は私を隣に座らせ私の涙を拭う。
自分は涙を流したままで、切なげに笑った。
「遊里以外は要らないんだ。…愛してる。昔も今も、私には遊里の笑顔が…必要だ。」
私の手を握りしめ。
目をまっすぐに見て言う旦那様に、拭われた頬はまた濡れてしまった。
私を優しく抱きしめて髪を撫で、耳元で囁く。
「愛してる遊里…お願い、笑って…?」
私はくすぐったくて、満面の笑みで旦那様を見つめた。
「ああ…世界一キレイだ…」
旦那様は嬉しそうに微笑み、ついばむように唇を重ねてくる。
キスの合間に私の名を呼び、愛しそうに髪を撫で。
私もそれに応えるように旦那様の背中に腕を回した。
不意に、旦那様の手が私のお腹に触れる。
「…ここに、私と遊里の子が?」
「はい、私が旦那様を愛する証が。」
私が答えると旦那様は眉を寄せた。
「私が、遊里を愛する証だ。」
「クスクス。…二人が、愛し合った証ですね。」
旦那様は優しい微笑みを浮かべながらお腹をさすり、時々私を見てはキスを落とした。
「産んでくれるのか?」
「当たり前です。」
私がキッパリ言うと旦那様は今まで見た事がないくらいの笑みをくれる。
「じゃあ…行こうか。」
「え?」
「結婚するんだから、当然だろう?ご挨拶に、だ。」
旦那様の答えに私はガバッと立ち上がった。
「今から!?」
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